診断書は障害年金申請の最重要書類!?押さえるべき3つの注意点を紹介

障害年金は書類審査のみで支給・不支給が決まります。特に重要な書類とされている診断書の内容は、審査の結果を左右するといっても過言ではありません。
障害年金の受給を目指すならば、適切な内容の診断書を作成してもらうことが必須です。ただし診断書を作成してもらうにあたって注意するポイントがいくつかあります。
この記事では障害年金における診断書の注意点を紹介しています。最後までお読みいただきますと、診断書の作成を依頼する際に気をつけるポイントを押さえ、適切な内容の診断書をそろえられます。
なおこの記事の内容は障害年金の制度について、ある程度理解している方向けです。もし、障害年金の制度についてよく知らないという方は、こちらの記事を先にお読みください。
「障害年金とは?」の記事はこちら
こちらをお読みいただくことで障害年金の制度について詳しく理解できます。
目次
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1-2-1認定日請求
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1-2-2遡及請求
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1-2-3事後重症請求
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1-2-4診断書の有効期限まとめ
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1-3-1実際の症状と診断書の内容に隔たりはないか
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1-3-2記入漏れはないか
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1-3-3診断書以外の書類の添付漏れはないか
4まとめ
1.診断書について押さえておくべき3つの注意点

障害年金の申請に使用する診断書について、押さえておくべき注意点は以下の3つです
- 年金事務所に相談してからお医者さんへ作成を依頼する
- 診断書の種類、提出枚数と有効期限を押さえる
- 診断書を受け取ったら必ず点検する
それぞれ詳しく解説します。
1-1.年金事務所に相談してからお医者さんへ作成を依頼する
診断書の作成をお医者さんに依頼する前に、年金事務所へ相談に行くようにしましょう。障害年金の受給要件を満たしているかどうか、確認してもらうためです。
受給要件を満たしていなければ、障害年金は受給できません。
障害年金の受給要件とは以下の3つです。
- 初診日に原則公的年金に加入していること
- 初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの期間において、3分の2以上保険料を納付または免除されていること。または初診日が令和8年4月1日前にある場合については、初診日において65歳未満であり、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの一年間に保険料の未納がないこと。
- 障害認定日に障害年金を受給できる障害の程度(障害等級)に該当すること
このうち、1と2については年金事務所で調べてもらえます(3の障害等級については、障害年金の請求後に審査されて決まります)。
また使用する診断書の種類や、診断書に記載するべき日付などの情報も、年金事務所へ相談に行くことで得られます。
1-2.診断書の種類、提出枚数と有効期限を押さえる
障害年金の診断書様式は障害の部位によって異なります。具体的には以下の8種類の様式があります。
様式第120号の1 眼の障害用
様式第120号の2 聴覚、鼻腔機能、平衡機能、そしゃく・嚥下機能、音声又は言語機能の障害用
様式第120号の3 肢体の障害用
様式第120号の4 精神の障害用
様式第120号の5 呼吸器疾患の障害用
様式第120号の6-(1) 循環器疾患の障害用
様式第120号の6-(2) 腎疾患・肝疾患、糖尿病の障害用
様式第120号の7 血液・造血器、その他の障害用
通常1つの傷病の場合、上記の診断書様式のうち、いずれか一種類を使用することになります。しかし、障害が必ずしも1つとは限りません。1つの傷病で複数の障害がある場合は、それぞれの障害状態が的確に表現できる様式の診断書を準備する必要があります。
たとえば脳血管疾患(脳出血、脳梗塞など)により片麻痺と高次脳機能障害が併存するような場合には、「様式第120号の3 肢体の障害用」と「様式第120号の4 精神の障害用」の2つの診断書を準備する必要があるわけです。
また肺がんの脳転移により歩行障害が顕著なケースを考えます。
この症例では「様式第120号の5 呼吸器疾患の障害用」や「様式第120号の7 血液・造血器、その他の障害用」ではなく、「様式第120号の3 肢体の障害用」の診断書様式を選択した方がよい場合もあります。
8種類の診断書のうち選ぶ診断書によっては、障害等級や年金額にも影響を及ぼす場合もあるため、慎重に検討する必要があるのです。
診断書の提出枚数や提出期限は、障害年金の請求方法によって異なります。障害年金の請求方法には以下の3種類があります。
- 認定日請求
- 遡及請求
- 事後重症請求
それぞれの請求方法の詳しい解説は以下の記事で行っています。
「障害年金とは?」の記事はこちら
こちらをお読みいただきますと、障害年金の請求方法について理解できます。
診断書の提出枚数と有効期限について、請求方法ごとに解説します。
1-2-1.認定日請求
認定日請求を行う場合、診断書の提出枚数は1枚です。障害認定日より3ヶ月以内の現症の診断書が必要となります。診断書の有効期限は障害認定日から1年未満です。

このように3月15日が障害認定日の場合、6月14日までの現症の診断書を作成してもらう必要があります。また翌年の3月14日までが診断書の有効期限です。
診断書の作成日ではなく、障害認定日から1年未満であることに注意しましょう。
1-2-2.遡及請求
遡及請求を行う場合、診断書の提出枚数は原則2枚です。1枚は障害認定日より3ヶ月以内の現症の診断書、もう1枚は、直近に作成してもらった診断書が必要となります。
遡及請求は障害認定日より1年以上経過してから、過去の分まで遡って障害年金を請求する方法です。そのため障害認定日時点の診断書と直近の診断書の2枚が、原則必要になるのです。
障害認定日の時点で作成してもらった診断書には、有効期限は設けられていません。一方、直近に作成してもらう診断書は現症日より3ヶ月以内が有効期限となります。
たとえば3月15日が診断書の現症日ならば6月14日が有効期限です。
現症日とは、診断書の症状がいつの状態であるかを示すものです。現症日は診断書の以下の部分に記載されます。

診断書の作成日と現症日は非常に混同しやすいため注意しましょう。
1-2-3.事後重症請求
事後重症請求を行う場合、診断書の提出枚数は1枚です。直近に作成してもらった診断書が必要となります。
事後重症請求は請求の時点から、障害年金の受給を求める方法です。遡及請求と異なり過去にさかのぼる請求方法ではないため、直近の診断書のみで請求が行えます。
診断書の有効期限は現症日より3ヶ月以内です。こちらも診断書の現症日と作成日を混同しないように注意しましょう。
1-2-4.診断書の有効期限まとめ
障害年金請求における必要な診断書の有効期限を、以下の表にまとめております。
請求方法 | 障害認定日時点の診断書の有効期限 | 直近の診断書の有効期限 |
---|---|---|
認定日請求 | 障害認定日から1年未満 | - |
遡及請求 | 有効期限なし | 現症日から3ヶ月間 |
事後重症請求 | - | 現症日から3ヶ月間 |
1-3.診断書を受け取ったら必ず内容を点検する

お医者さんから診断書を受け取ったら、必ず内容を点検しましょう。人が作成するものなのでミスがある場合があります。
ご自身で点検せずに、そのまま診断書を提出すると差し戻しになったり、後々不支給につながったりするケースもあるため、念入りに確認しましょう。
診断書を点検するポイントは以下のとおりです。
- 現況と診断書の内容に隔たりはないか
- 記入漏れはないか
- 診断書以外の書類の添付漏れはないか
病院から受け取った診断書には封がしてあるため「開封して中を確認しても良いの?」と心配になる方がおりますが、封を切っても問題ありません。診断書は点検するだけでなく、コピーも取っておきましょう。
1-3-1.実際の症状と診断書の内容に隔たりはないか
実際の症状と診断書の内容に隔たりがないか確認しましょう。
体調が良くなっていないのに、診断書には「症状が軽くなっている」と書かれてしまうケースでは不支給につながる可能性が高まるため、特に注意が必要です。
たとえば体調が悪いのに先生を前にするとうまく伝えられず、体調が良くなっていると答えてしまうことがあります。または具合の良い日を選んで受診したため、お医者さんから症状が軽くなっていると判断されることもあります。
診察時間のみで、症状や生活状況をお医者さんに正しく把握してもらうのは難しいものです。
実際の症状や生活の様子を正確に伝えるためには、現況をメモにまとめてお医者さんに渡すのがおすすめです。
それでも実際の症状と診断書の内容に相違がある場合は、お医者さんに改めて相談するようにしましょう。
1-3-2.記入漏れはないか
診断書に記入漏れがないか確認しましょう。記入が必須の事項を空欄のままにして提出すると、窓口で差し戻されます。
また記入が必須とされていない事項が空欄になっている場合にも注意が必要です。たとえば就労状況の欄は記入必須ではないものの、職場から特別な配慮を受けて就労している場合には、その旨を記載する必要があります。
しかし、就労状況の欄が空欄になっている場合には、問題なく就労できているものとして、障害等級が実際より低く認定されたり、最悪の場合、不支給になってしまったりといったことが発生する可能性があります。
1-3-3.診断書以外の書類の添付漏れはないか
診断書とあわせて、レントゲンフィルムや心電図のコピーの提出が必要な場合があります。
下記にレントゲンフィルムや心電図のコピーの提出が必要な場合を例示します。
・呼吸器疾患の障害用の診断書様式
傷病名が「結核」「肺化のう症」「じん肺」などの場合・・・胸部X線フィルムの添付が必要(CDなどで保管されている場合は画像をあらかじめ印刷したものを添付)。
・循環器疾患の障害用の診断書様式
心電図所見がある場合・・・心電図のコピーの添付が必要。
上記のケースに該当する場合、書類の添付漏れがないかどうかも確認しましょう。
2.診断書の様式一覧
診断書の様式は日本年金機構のWebサイトよりダウンロードできます。
年金請求に使用する診断書・関連書類
こちらのページを利用すれば、自宅でも診断書の原紙を印刷できます。年金事務所から診断書を受け取ったものの、その後紛失してしまったといった場合はご利用ください。
前述のとおりお医者さんへ診断書の作成を依頼する前に年金事務所を訪れ、自分が年金の受給要件を満たしているかどうかについて、必ず確認するようにしましょう。
診断書の作成を依頼した際の費用は1通5,000〜10,000円と高額です。あとから受給要件を満たしていないと判明した場合、診断書の作成依頼費用が無駄になってしまいます。
3.自力で診断書をそろえることが難しいと悩むあなたへ

障害年金の請求において、診断書は大変重要な書類であることを理解していただけたかと思います。それ故に注意すべき点もたくさんあります。
特にお医者さんとはしっかりコミュニケーションを取り、自分の生活状況や症状についてしっかり共有する必要があるのです。しかし、実際には現況をお医者さんにうまく伝えられず悩まれる方も多くいらっしゃるのが実態です。
そのような場合、社労士へ障害年金の申請代行を依頼する手段があります。
社労士に依頼すれば、障害年金の申請全般にわたって、手続きを代行してくれます。もちろん診断書をお医者さんへ依頼する際にも、必要なサポートが受けられます。
そのため申請手続きにおけるご自身の負担を軽減したうえで、障害年金受給の可能性を広げられるのです。
以下の記事では障害年金の申請代行を依頼する際の費用やメリットを紹介しています。
「障害年金申請代行の費用はいくらかかる?」の記事はこちら
こちらをお読みいただきますと、障害年金の申請代行を社労士に依頼すべきかどうかの判断ができるようになります。
4.まとめ
この記事では障害年金の請求に必要な診断書について押さえておくべき、注意点について紹介しています。
注意点は以下の3点です。
- 年金事務所に相談してから、お医者さんへ作成を依頼する
- 診断書の提出枚数と有効期限を押さえる
- 診断書を受け取ったら必ず点検する
診断書は障害年金を請求するうえで最も重要な書類です。同じ障害の状態の人が二人いたとしても診断書の内容次第で、審査の結果が異なるものになる可能性があります。
そのため診断書を適切な内容でそろえる必要があるのですが、体調が悪いなか手続きを進めなければならないため、困難な場合が多いのが実態です。
自力での手続きが難しいと感じる場合には、社労士に障害年金申請代行を依頼して、専門家の力を借りる手段も検討してみましょう。
当センターでは障害年金の受給に関するご相談を、下記のリンクより承っております。