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障害年金における併合認定とは?複雑な仕組みを分かりやすく解説

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障害年金の申請に際して、複数の障害を抱えているケースもあります。この場合、障害年金の等級判定にどのような影響をもたらすか、気になるところではないでしょうか?

 

結論として複数の障害を抱えている場合には、通常と障害等級の認定方法が異なるかもしれません。例えば併合認定に当てはまるケースならば、ひとつの障害で申請するよりも高い障害等級に認定される可能性があるのです。

 

この記事では併合認定の仕組みについて、具体的な事例を交えて詳しく解説します。最後までお読みいただけると、現在複数の障害を抱えている場合に、ご自身が併合認定によって障害等級が上がる可能性があるのかをつかめるようになります。



1.併合認定とは?

併合認定とは複数の障害を個別に等級判定したうえで、専用の認定表にあてはめて最終的な障害等級を決定する認定方法です。それぞれの障害が体に及ぼす全体的な影響が等級判定に反映されるため、適切な障害等級が決定されるようになります。

 

なお併合認定の具体的な仕組みについては、後ほど詳しく解説します。


2.複数の障害を持つ方向けの認定方法には様々な種類がある




併合認定以外にも、複数の障害を抱える場合に対応した認定方法がいくつか存在します。併合認定ではなく他の認定方法の対象になる場合もあるため、それぞれの違いを理解しておきましょう。


2-1.加重認定

加重認定とは、すでに障害等級に該当する障害を持つ人が、新たに別の障害を負った場合に適用される認定方法です。既存の障害に新たな障害が加わり全体的な障害の重さが増すため、障害年金の等級が見直される可能性があります。

 

加重認定と併合認定の認定方法は同じ仕組みです。

 

申請の時点で既に複数の障害を抱えているならば、併合認定が対象になります。一方で、すでに2級以上の障害年金を受給している場合であって、新たに障害を負う場合には加重認定の対象になるわけです。


2-2.総合認定

総合認定とは、併合認定のように複数の障害を個別に評価するのではなく、まとめて一つの障害として障害等級を判定する認定方法です。

 

障害がどの傷病によるものなのか切り分けられない場合には、個々の障害の評価が困難です。この場合には、総合認定が用いられることがあります。たとえば精神疾患内科的疾患が複数生じている場合のように、個別の評価が難しいケースが対象です。


2-3.差引認定

差引認定は、障害認定の対象とならない障害(前発障害)と同一部位に、新たな障害(後発障害)が生じたケースが対象になる認定方法です。

 

差引認定においては全体的な障害状態を評価されたあと、前発障害の程度を差し引いたうえで、改めて後発障害の障害状態が評価されます。

 

このように差引認定は他の認定方法と異なり、障害等級が下がる可能性のある認定方法です。一般の障害年金受給者との公平性を保つために設けられています。


3.併合認定の仕組み

この章では、併合認定の仕組みについて以下の3種類のケース別に具体例を用いて解説します。

  • 2つの障害が併存する場合
  • 3つ以上の障害が併存する場合
  • 併合認定の特例に該当する場合



3-1.2つの障害が併存する場合

まずは障害を2つ抱える場合の併合認定の仕組みを解説します。

 

併合認定においては、主に併合判定参考表併合(加重)認定表を基にして障害等級が判定されます。併合判定参考表には併合認定の対象となる障害の例示が、障害等級別に列挙されています。



赤枠で囲った「番号」を、ご自身の症状に合わせて把握することが、併合認定における重要なポイントです。障害等級1級ならば1号、障害等級2級ならば2〜4号、障害等級3級ならば5〜7号といった具合に、障害の状態に応じて、番号が割り振られています。

 

2つの障害を抱える場合にはそれぞれの障害の番号を把握したうえで、以下の併合(加重)認定表に当てはめると、該当する障害等級を割り出せます。

画像引用元:日本年金機構「第2章 併合認定基準」

 

ここからは具体的な認定例を用いて解説します。

 

【認定例】

 右手のおや指及びひとさし指を併せ一上肢の4指の用を廃し、視力の良い方の眼の視力が 0.1 になった場合

 

この認定例は、併合判定参考表によると次のとおりに表されます。

部位

障害の状態

併合判定参考表

右手の障害

右手のおや指及びひとさし指を併せ一上肢の4指の用を廃したもの

7号―5

両眼の障害

視力の良い方の眼の視力が 0.1 以下のもの

6号―1

 

上記の内容を、併合(加重)認定表に当てはめてみます。



画像引用元:日本年金機構「第2章 併合認定基準」

 

以上のように併合(加重)認定表によれば、併合番号4号に該当します。

 

併合番号と障害の程度の関係性については、以下の図で確認できます。


認定例においては併合番号4番に該当するため、障害等級2級と認定されることがわかります。



3-2.3つ以上の障害が併存する場合

3つ以上の障害が併存する場合の併合認定の仕組みについても、具体例を用いて解説します。

 

[認定例]

左下肢を大腿部から切断し、視力の良い方の眼の視力が 0.1 になり、右上肢のひとさし指、なか指及び小指を近位指節間関節より切断し、さらに、左上肢のおや指を指節間関節より切断した場合

 

この場合もまずは併合判定参考表に基づいて、それぞれの障害の番号を求めます。

 

部位

障害の状態

併合判定参考表

左下肢の障害

一下肢を足関節以上で欠くもの

4号―6

両眼の障害

視力の良い方の眼の視力が 0.1 以下のもの

6号―1

右手の障害

ひとさし指を併せ一上肢の3指を近位指節間関節

以上で欠くもの

7号―4

左手の障害

一上肢のおや指を指節間関節以上で欠くもの

9号―8

 

このうち最下位(9号)に該当する左手の障害と、その直近位(7号)に該当する右手の障害を併合(加重)認定表に当てはめて、併合番号を求めます。


画像引用元:日本年金機構「第2章 併合認定基準」

 

以上のように、最下位と直近位の組み合わせでは併合番号7号です。以下順次、求めた併合番号と残りの障害のうち最下位の障害との組合せによって、新たに併合番号を求めます。

 

よって7号と両眼の障害(6号)の組み合わせで、併合番号を求めます。


画像引用元:日本年金機構「第2章 併合認定基準」

 

併合番号は4号です。最後に併合番号4号と左下肢の障害(4号)の組み合わせで、併合番号を求めます。


画像引用元:日本年金機構「第2章 併合認定基準」

 

最終的に併合番号は1号と求められました。よって、この認定例においては障害等級1級に認定されることがわかります。



3-3.併合(加重)認定の特例に該当する場合

併合(加重)認定には特例に該当するケースが存在します。

 

以下は併合認定基準に明示されている、併合認定の特例に関する説明文です。

 

併合(加重)認定の対象となる障害の程度が、国年令別表、厚年令別表第1、厚年令別表第2に明示されている場合又は併合判定参考表に明示されている場合は、併合(加重)認定の結果にかかわらず、同令別表等により認定する。

引用元:日本年金機構「併合認定基準」

 

つまり併合認定の結果に関係なく、優先的に国年令別表厚年令別表の内容に応じて障害等級に認定されるケースを「併合認定の特例」と呼びます。

 

併合認定の特例についても具体例を挙げて解説します。

 

【事例】

左下肢の5趾を失った後、さらに右下肢の5趾を失ったケース

 

この場合、併合判定参考表によれば、それぞれの障害の等級は以下の通りです。

 

部位

障害の状態

併合判定参考表

左足ゆびの障害

一下肢の5趾を中足趾節関節以上で欠くもの

8号-11

右足ゆびの障害

一下肢の5趾を中足趾節関節以上で欠くもの

8号-11

 

この場合は8号と8号で併合判定表に当てはめるなら、7号で障害等級3級に該当します。


画像引用元:日本年金機構「第2章 併合認定基準」

 

しかし、国年令別表の2級には「両下肢の全ての指を欠くもの」と明示されています。


画像引用元:厚生労働省「国民年金法施行令別表|厚生年金保険法施行令別表第1及び第2」

 

よってこの認定例では、併合認定の結果にかかわらず特例が適用されて障害等級2級に認定されます。




4.併合認定の請求方法

併合認定の請求にあたっては、場合によってそろえるべき書類が異なります。この章ではケース別に必要な書類をまとめています。

  • 同一原因の障害で請求する場合
  • 異なる原因の障害で請求する場合



4-1.同一原因の障害で請求する場合

同一原因による障害で請求を行う場合には、それぞれの障害種別に応じた診断書と病歴・就労状況等申立書が必要です。たとえば糖尿病によって視力障害と肢体不自由が生じているような状態が、このケースに該当します。

 

一方、視力障害と視野障害、あるいは肢体の障害が複数同時に発生しているケースにおいては、一枚の診断書と病歴・就労状況等申立書で足りる場合もあります。

 

用語解説:病歴・就労状況等証明書

発病から初診までの経緯やその後の受診状況、日常生活や就労状況などを請求者本人の視点から記載する書類。診断書の内容を補足しつつ、日本年金機構から適切な審査を受けるための大切な役割を果たす。


4-2.異なる原因の障害で請求する場合

それぞれの障害の原因となった傷病が異なる場合には、障害の種別ごとの診断書と病歴・就労状況等申立書に加え、受診状況等証明書も原因となった傷病ごとに準備する必要があります。

 

用語解説:受診状況等証明書

障害の原因となった傷病の初診日を証明する書類。併合認定する傷病が異なる場合には、初診日も異なるため、受診状況等証明書もそれぞれの傷病ごとに取得しなければならない。


5.【注意】併合しても等級が上がらないケースがある

併合認定を受けて障害等級の上がるケースがある一方で、等級の上がらない組み合わせもあります。

 

例えば3級7号の「身体の機能に労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの 」と3級7号「精神又は神経系統に労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの 」の組み合わせで考えてみます。


画像引用元:日本年金機構「第2章 併合認定基準」

この場合、併合番号は6番で障害等級3級から2級へと上がる組み合わせではありません。

 

併合認定を視野に入れて請求する場合、診断書や病歴・就労状況等申立書を複数そろえる必要があります。そのため上位の等級で認定を受けられない組み合わせで、両方の障害を請求してしまうと労力と費用が無駄になってしまう可能性があるのです。

 

このケースでは、身体不自由または精神疾患のどちらか一方に絞って請求を行うという選択ができます。併合認定を目指すのか目指さないのかは見極めが必要です。



6.まとめ

この記事では障害年金における併合認定の仕組みについて解説しました。複数の障害を抱えている場合、併合認定を受けて、より高い障害等級に認定される可能性があります。

 

ただしどのような障害でも併合認定の対象になるわけではありません。併合判定参考表に該当する障害に限られます。また併合判定参考表に該当する障害の組み合わせであっても等級の上がるケースと上がらないケースがあり、総じて併合認定のルールは複雑です。

 

そのため実際に障害年金請求を行う場合には、併合認定を行うべきか否かの判断がつかなくなってしまうかもしれません。この場合には、社会保険労務士に相談することがおすすめです。

 

社会保険労務士は障害年金制度の専門家のため、あなたの状況に合わせて最善の選択を提案してくれます。当センターでは、障害年金に関する電話相談を初回無料で承っております。

(CTA)

併合認定に関するお悩みにつきましても、ぜひお気軽にご相談くださいませ。


7.当センターにおける事例紹介

当センターで過去にあった、併合認定による受給事例を紹介します。

 

受給事例1 くも膜下出血での受給

 

 40代男性

年金の種類

障害厚生年金1級

請求方法

障害認定日請求

年金額

年間約196万円

提出した診断書

肢体の障害用の診断書

精神の障害用の診断書

音声又は言語機能の障害用の診断書

 

男性は1年半ほど前に職場で倒れ、救急搬送後に入院して緊急手術を受けました。くも膜下出血の後遺症として、右片麻痺・高次脳機能障害・失語症が残存しています。約5ヶ月間のリハビリ入院を経て自宅療養となりますが、リハビリを行っても一部の機能についてはほとんど改善が見られませんでした。

 

現在は利き手の右手が使えないため、衣類の着脱や入浴、トイレなど基本的な日常生活の動作についても、家族から手伝ってもらわないとできない状態にあります。

 

また文字がうまく書けなくなっていたり、少し前に食べたものや話した内容を忘れたり、さらには長文の理解や発話がほぼ困難になっていたりと、意思疎通が難しい状況です。

 

受給事例2 左視床出血での受給

 

 50代男性

年金の種類

障害厚生年金1級

請求方法

障害認定日請求

年金額

年間約165万円

提出した診断書

肢体の障害用の診断書

精神の障害用の診断書

 

男性は自宅で倒れているところを会社の同僚に発見され、救急搬送されました。

 

左視床出血の診断を受け緊急入院し、手術を受けます。その後、右片麻痺、高次脳機能障害、嚥下機能障害、軽度の構音障害など複数の障害が残存しました。数か所の病院でリハビリ入院を行ったあと、要介護認定を受けて介護施設へ入所しています。

 

車椅子での生活が中心のため、外出時は職員や家族の付き添いが必須になりました。また箸が使えなくなったため、スプーンとフォークを使用してトロミをつけた食べ物を時間をかけてゆっくり食べている状況です。

 

他にも高次脳機能障害による記憶力の低下が見られたり、感情のコントロールが出来ず声を荒らげて物に当たってみたりと、第三者のサポートが不可欠な状況にあります。

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