障害年金の更新の流れを徹底解説!減額や支給停止になる原因は?

障害年金は一度支給が開始されても、ずっと受け取れるとは限りません。あらかじめ定められた時期に更新をして、再度障害等級の審査を受ける場合がほとんどです。
審査の結果次第では障害年金が減額されたり、支給停止になってしまったりすることがあるため、不安に思う方も多くいらっしゃいます。
この記事では障害年金の更新の流れや、減額・支給停止になる原因について解説しています。記事の後半では障害年金の更新においてよくある悩みと、必要な手立てについても紹介しています。
この記事を読めば障害年金の更新の流れを正確に理解できるだけでなく、更新に対する不安感も軽減できます。
1.障害年金の認定には2種類ある
障害年金の認定には以下の2種類があります。
- 有期認定
- 永久認定
それぞれ紹介します。
1-1.有期認定
有期認定は障害年金の支給期間が定められた認定です。有期認定の場合、更新時期に再度障害状態を確認され、障害等級の見直しが行われます。
更新までの期間は1〜5年で、受給者ごとに異なります。
精神障害や内部疾患など症状が軽くなったり重くなったりと変わりうる障害については、有期認定で障害年金が支給されます。
1-2.永久認定
永久認定とは、障害年金の支給が一生涯受けられる認定のことです。
永久認定を受けられるケースは、四肢欠損や失明といった回復の見込みのない障害に限定されます。
2.更新時期の確認方法
自分の障害年金の更新時期は、年金証書で確認できます。
年金証書の右下にある「次回診断書提出年月」欄に記載されている時期が更新時期です。

有期認定を受けている場合は年金証書を確認することにより、自分の更新時期を知ることができます。
一方、永久認定を受けている方であれば「次回診断書提出年月」欄には、「** 年 **月」と記載されています。
3.障害年金の更新の流れ
障害年金の更新の流れは以下のとおりになります。

ステップごとに流れを解説します。
3-1.STEP1. 自宅に障害状態確認届が送付される
障害年金の更新時期が近づくと、日本年金機構より診断書欄のついた障害状態確認届が自宅へ郵送されます。
障害状態確認届が自宅へ届く時期は、誕生月の3ヶ月前の月末です。

このように6月が誕生月の方ならば、3月末ごろに障害状態確認届が自宅へと届きます。
3-2.STEP2. 医師に診断書を作成してもらう
障害状態確認届が届いたら、病院へ行きお医者さんに診断書の作成を依頼します。
お医者さんによって、診断書の作成スピードには差があり時間がかかる場合もあります。よって障害状態確認届を受け取ったら、速やかに病院に行くようにしましょう。
お医者さんが多忙な場合、診断書の作成をうっかり忘れられてしまうこともあります。看護師さんや事務員さん、ソーシャルワーカーさんなど院内で気軽にコミュニケーションの取れる相手にも、診断書の作成依頼をしていることを伝えておくことも大切です。
3-3.STEP3.診断書を確認する
診断書を受け取ったら必ず内容を確認しましょう。診断書の内容は、審査の結果を左右するものだからです。傷病名や日付の誤り、記入もれなどを入念にチェックします。
前回の裁定請求時に診断書を作成してくれたお医者さんと別のお医者さんが診断書の作成を依頼する場合は、特に注意が必要です。診断基準はお医者さんによって異なるため、前回の診断書と内容が一変することがあります。
症状の程度が前回と同等、または悪化していると自分では感じても、診断書には「症状が軽くなっている」と書かれてしまうケースもあります。こうした場合には、診断書の内容を修正できないかどうか、改めてお医者さんに相談してみるとよいでしょう。
このとき、内容に納得できないからといって、修正を強い態度で迫るのはNGです。あくまでお医者さんの診断を尊重し「相談する」といったスタンスを心がけます。
3-4.STEP4. 診断書を提出する
診断書の内容が確認できたら郵送にて提出します。
通常は、障害状態確認届が日本年金機構から送られてきた時に同封されている返信用封筒に入れて日本年金機構あてに郵送するのが一般的です。
その他、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターの窓口への提出も可能です。
また障害基礎年金のみを受けている方は、市区町村の国民年金課窓口でも提出できます。
提出期日までに診断書が届くように郵送しましょう。
診断書は誕生月の末日までに提出する必要があります。

上の図のように6月が誕生月の方ならば、6月30日が提出期日となります。期日に遅れてしまうと障害年金が一時差し止めになる可能性があるため、注意しましょう。
3-5.STEP5. 審査結果が届く
提出後、約3ヶ月で審査の結果が届きます。
審査の結果、障害等級に変更がない場合には、「次回の診断書の提出について」というハガキが自宅へ届きます。一方、障害等級が変更になったり支給停止になったりする場合は、その旨が記載された「支給額変更通知書」が自宅に届きます。
3-6.STEP6.審査結果が反映される
障害等級が変更になり、年金の受給額が変わったり障害年金が支給停止になったりする場合には、障害状態確認届の提出期限、つまり誕生月の4ヶ月目の支給月分から反映されます。

上の例のように、6月が誕生月の方であれば10月分から額改定や支給停止が反映されます。
4.審査の結果、障害年金が減額・支給停止になる原因
更新における審査の結果、減額(級落ち)や支給停止になってしまう可能性があります。そのため多くの方が更新に不安を感じるのです。
障害年金が減額・支給停止になる原因は2つあります。
- 症状が軽くなったため
- 生活の状況に変化があったため
4-1.症状が軽くなったため
障害の状態が軽くなると、障害等級に該当しなくなることがあります。
ご自身で症状が明らかに前回の裁定時より軽くなっている自覚があるといった場合、減額や支給停止を受け入れざるを得ないかもしれません。
しかし前述のように症状が前回の裁定時と変わらない、もしくは悪化しているように感じるのに診断書には「症状が軽くなっている」と書かれることもあります。この場合は、お医者さんに相談して、診断書の内容を修正できるかどうか相談することが必要です。
4-2.生活の状況に変化があるため
生活の状況に変化が認められるために、障害年金が減額になったり支給停止になったりすることがあります。
障害等級2級ならば「生活の範囲が病院や家の中に限られ、就労はほぼできないといった程度」が基準となります。
例えば裁定請求をしたときには、精神疾患のため就労ができず障害等級2級の認定を受けていた人が、更新時に就労している場合は障害等級2級に該当しないと判断されることもあります。この場合、減額や支給停止になる可能性があります。
ただし就労しているからといって、必ずしも減額や支給停止になってしまうわけではありません。
会社からサポートや配慮を受けてなんとか働けているといった場合には、就労をしていても現在の障害等級を維持して受給を続けられる場合があります。
例えば障害者雇用枠で働いていたり、労働時間の短縮や業務内容を限定されているなど会社から配慮を受けていたりする場合です。
就労実態については、診断書の内容に反映させる必要があります。そのためお医者さんには、就労の状況を普段から伝えておく必要があるのです。
5.障害年金の更新でよくある悩みと手立て

障害年金の更新においてよくある悩みと、行うべき手立てについて紹介します。
5-1.前回と比べて症状が重くなっている
前回診断書を提出したときより明らかに症状が重くなっている場合には、「障害給付額改定請求書」という書類を診断書に添付するのがおすすめです。
症状が重くなっている旨を診断書に書いてもらうのみでは、必ずしも障害等級が上がるわけではないというのが実態です。
障害給付額改定請求書を提出しておくことで、もしも障害等級が上がらなかったときに不服申し立てを行えます。
一方、障害給付額改定請求書を添付しなかった場合には、不服申し立てができません。
なお、障害状態確認届のみの提出により更新手続を行った結果、障害等級が変わらなかった場合は、新たに診断書と障害給付額改定請求書を提出して、額改定請求の手続きをすることができます。しかし、この場合は手間と費用の負担が大きくなってしまうため、注意が必要です。
5-2.前回と比べて症状が軽くなっている
症状が前回より明らかに軽くなっている場合、障害等級に該当しないのではと自己判断し、障害状態確認届を提出しない方がいます。
しかし、症状が軽くなっていても障害状態確認届は提出することをおすすめします。審査の結果次第では更新となり、引き続き障害年金を受け取れる可能性があるからです。
また更新時期を迎えたにもかかわらず、障害状態確認届を提出しない場合、年金給付の一時差し止め処分を受けることになります。
長期間に渡って障害状態確認届を提出せず差し止め処分を受けている場合には、過去分に渡って複数の診断書の提出を求められ、通常より診断書の費用負担が増えてしまうため留意する必要があります。
5-3.減額改定や支給停止の決定を受けた
審査の結果、思いがけず障害年金が減額や支給停止になってしまう可能性があります。
障害年金をベースに生計を立てている方にとって、減額や支給停止は死活問題です。万が一減額や支給停止が決まった場合にも、行える手続きがありますので紹介します。
5-3-1.不服申し立て
審査結果に納得ができない場合には、不服申し立てを行うことができます。
審査における決定を知った日の翌日から3ヶ月以内に文書または口頭で審査請求を行えます。審査請求の決定に不服がある場合には、決定書の謄本が送付された日の翌日から2ヶ月以内に再審査請求を行えます。
審査請求と再審査請求では請求先が異なるため注意が必要です。
審査請求:地方厚生局の社会保険審査官
再審査請求:厚生労働省の社会保険審査会
不服申し立ては文書または口頭で行えますが、実際には文書で行うことがほとんどです。
審査請求書は地方厚生局のホームページよりダウンロードが可能です。お住まいになる都道府県の地方厚生局がどこに当たるかは、以下のページより確認できます。
日本年金機構ホームページ「社会保険審査会における社会保険審査制度の概要」
また再審査請求書は以下のページよりダウンロードができます。
厚生労働省ホームページ「(再)審査請求書等の様式」
5-3-2.額改定請求の手続き
額改定手続きは、障害等級を上げてほしいと考える場合に行える手続きです。注意点として減額改定や支給停止になった場合は、更新における審査の結果を知ってからすぐに行えるものではありません。前回、障害の程度について診査を受けた日から、原則1年経過後に行えるようになります。
額改定請求を行う場合、改めてお医者さんへ診断書を作成してもらうことが必要です。診断書に障害給付額改定請求書を添付し、年金事務所または街角の年金相談センターへ提出します。障害基礎年金のみ受給している場合には、市町村役場の窓口でも提出可能です。
障害給付額改定請求書は以下のページよりダウンロードできます。
日本年金機構ホームページ「障害の程度が変わったとき」
5-3-3.支給停止事由消滅届の提出
障害年金が支給停止になっても、再び年金を受けられる障害の程度になった場合には、支給停止事由消滅届を提出して、障害年金を再度受け取れます。
ただし改めてお医者さんに診断書を作成してもらうことが必要です。
診断書に老齢・障害給付受給権者支給停止事由消滅届を添付して、年金事務所または街角の年金相談センターへ提出します。障害基礎年金のみ受給している場合には、市町村役場の窓口でも提出可能です。
老齢・障害給付受給権者支給停止事由消滅届は以下のページよりダウンロードできます。
日本年金機構ホームページ「ふたたび障害の程度が重くなったとき」
6.自力で障害年金の受給を継続できるか不安
支給停止や減額の可能性のある障害年金の更新において、自力で受給を継続できるか不安になることがあるかと思います。
そういった場合には、障害年金申請代行を社労士へ依頼することをおすすめします。社労士は公的年金に関する国家資格ですので、障害年金の更新手続きを代行して請け負うことができます。
社労士へ申請代行を依頼した場合、障害年金の更新における受給継続の可能性を広げられるメリットがあります。
7.当センターの実績

障害年金の更新における当センターのサポート実績を紹介します。
男性 50代 都内在住 双極性感情障害
依頼者の方の障害年金の受給状況を時系列で示しています。
平成30年2月 会社休職中に事後重症請求し、障害厚生年金2級の受給権取得
平成31年7月 更新1回目 一般就労中 障害厚生年金2級で更新
令和2年7月 更新2回目 一般就労中 障害厚生年金2級で更新
初回裁定請求では障害厚生年金2級の受給権を取得しています。このときは休職中でした。
1回目、2回目の更新においては就労中でしたが、当センターが代行手続きに関わることにより障害厚生年金2級での更新に至っています。
ただし依頼者の生活状況としては、欠勤を繰り返し年の半分程度しか出勤できていなかったり、抑うつ状態のときには自殺企図をしたりしていた背景があります。
当センターのサポートにより、こうした状況をしっかり診断書に反映したうえで、更新につなげられました。
8.まとめ
この記事では、障害年金の更新について解説しました。
精神疾患や内部疾患など、症状の状態が変わる可能性のある障害については有期認定であることがほとんどです。なかには減額改定や支給停止の可能性もあるため、不安を感じる方も多いと思います。
障害年金の更新においては、診断書の内容が審査の結果を左右するのが実態です。適切な診断書を作成してもらえるよう、積極的にお医者さんとコミュニケーションを取ることが必要になりますが、自力ではなかなか難しい場合があります。
社労士に依頼することにより、お医者さんへの情報提供を効果的に行い適切な診断書の作成をしてもらえるよう、サポートが受けられます。
ぜひ利用を検討してみましょう。
当センターでは障害年金の受給に関するご相談を、下記のリンクより承っております。