障害年金申請手続きの6つのステップを解説!請求の流れをつかめる

障害年金を請求するまでには年金事務所や病院に足を運んだり、必要な書類をそろえたりとやるべきことが多くあります。そのため申請の手順がよくわからないと悩む方も多いでしょう。
この記事では、障害年金の申請手続きの手順を6つのステップに分けて紹介しています。最後までお読みいただきますと、障害年金を請求するまでの流れを押さえられます。
なおこの記事では、障害年金制度については既に押さえている方向けに、申請手続きの流れに絞って解説しています。もし障害年金制度の概要について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
こちらをお読みいただきますと、障害年金制度について正確につかめるようになります。
目次
-
1-1 STEP1. 年金相談の準備
-
1-1-1 年金相談で聞かれる情報を調べておく
-
1-1-2 初回の年金相談を予約する
-
1-2-1 初回の年金相談に行く際の持ち物
-
1-2-2 初回年金相談で行うこと
-
1-3-1 受診状況等証明書の作成を依頼する際の注意点
-
1-3-2 2回目の年金相談を予約する
-
1-4 STEP4. 2回目の年金相談
-
1-4-2 請求方法を決定する
-
1-4-3 障害年金の請求書類についての説明を受ける
-
1-5 診断書を病院で作成してもらう
-
1-5-1 診断書を受け取ったら必ず内容を点検する
-
1-6 STEP6. 請求書類一式を提出
3 まとめ
1.障害年金申請手続きにおける6つのステップ
障害年金の申請手続きにおける、6つのステップを紹介します。流れは以下のとおりです。

注意点として、相談する年金事務所によって手続きの流れは異なることがあります。しかし、この記事の内容を押さえておくことにより、年金を請求するまでの大まかな流れをつかみ、申請をスムーズに進めることができます。
1-1.STEP1. 年金相談の準備

初回の年金相談へ行く前に準備しておくべきことは以下の2つです。
- 年金相談で聞かれる情報を調べておく
- 初回年金相談を予約する
1-1-1.年金相談で聞かれる情報を調べておく
年金相談に行ったときに聞かれる内容をあらかじめ調べておくと、非常にスムーズに手続きを進められます。
年金事務所で聞かれる内容には以下の3つがあります。
- 傷病名
- 初診日
- 病院の通院歴
それぞれ簡単に解説します。
傷病名
障害の原因になった傷病名を、現在通院している病院のお医者さんに確認します。
傷病によっては、そもそも障害年金の支給対象に該当しないことがあるため、年金事務所で必ず確認される内容です。
初診日
初診日とは、障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診療を受けた日のことです。初診日は、初診の病院で確認する必要があります。
初診日を特定できない場合、障害年金請求の手続きを進められません。
また手続きを進めてから初診日が間違っていると発覚した場合、書類の作り直しといった余計な手間が発生します。よって準備の段階で正確に初診日を調べる必要があります。
病院の通院歴
傷病の治療やリハビリを行った病院の通院歴を、全て調べてまとめておきます。
病院の通院歴について調べるポイントは、以下の3つです。
- 病院名
- 通院していた期間
- 通院していなかった期間
これらの情報を調べてメモ帳やスマートフォンにまとめておくと、年金事務所を訪れた際にスムーズに手続きが進められます。
1-1-2.初回の年金相談を予約する
予約制をとっている年金事務所が多いため電話で予約を入れます。年金事務所が混み合っている場合は、予約できる時期が3週間くらい先になっている場合もあります。申請を急ぐ方であれば、お早めの予約がおすすめです。
電話予約の際には以下の内容を確認されます。
- 基礎年金番号(年金手帳や基礎年金番号通知書にて確認)
- 初診日
以上の情報をあらかじめ用意してから、電話がけするのがおすすめです。
また年金事務所に行く際の持ち物についても、電話で併せて確認しておきましょう。
1-2.STEP2. 初回の年金相談に行く
予約日が到来したら、年金事務所へ初回の年金相談に行きます。
1-2-1.初回の年金相談に行く際の持ち物
年金事務所に行く際、必要になるものを以下にまとめています。
- 年金手帳
- マイナンバーカード
- 障害者手帳(お持ちの方のみ)
- 身分証明書
- 委任状(本人以外が相談に行く場合に必要)
また、身分証明書には1つあれば身分を証明できるものと、2つ以上あって身分が証明できるものがあります。
1つあれば身分を証明できる物
マイナンバーカードや運転免許証など
2つ以上あって身分を証明できる物
保険証や年金手帳、金融機関の通帳・キャッシュカードなど
年金事務所によっては紹介した持ち物以外に、別途必要なものがあるといったケースもあります。電話予約の際に持ち物を確認しておきましょう。
1-2-2.初回年金相談で行うこと
初回の年金相談では以下のことを行います。
- 障害年金の説明が受けられる
- STEP1であらかじめ調べておいた内容について質問を受ける
- 障害年金の請求に必要な書類一式がもらえる
また初診の病院で診断書を作成しない場合、初診日を確定するために受診状況等証明書が必要です。最初に行った病院のお医者さんに受診状況等証明書を作成してもらってから、次の年金相談に行く必要があります。この場合は年金事務所で、受診状況等証明書の原紙を受け取りましょう。
1-3.STEP3. 受診状況等証明書を病院で作成してもらう

受診状況等証明書とは、その障害の原因となった傷病の初診日を明らかにするための書類です。初診の病院で作成してもらいます。
受診状況等証明書の作成にかかる費用は3,000〜5,000円程度です。
受診状況等証明書は作成までに1〜2週間、場合によっては1ヶ月かかるため、初回の年金相談後は速やかに病院へ作成を依頼する必要があります。
なお初診の病院で診断書を作成してもらう際には、受診状況等証明書を省略できます。この場合は初診日をあらかじめ電話などで病院に確認したうえで、2回目の年金相談の予約を入れましょう。
1-3-1.受診状況等証明書の作成を依頼する際の注意点
受診状況等証明書の作成を依頼する際の注意点は以下の2点です。
- カルテで通院歴を確認してもらう
- 受診状況等証明書を受け取ったらその場で内容を確認する
カルテで通院歴を確認してもらう
受診状況等証明書を依頼する前にカルテをお医者さんに調べてもらい、別の病院に通っていなかったか確認することをおすすめします。
初診の病院が別の病院であることが発覚する場合もあります。
受診状況等証明書を受け取ったらその場で内容を確認する
受診状況等証明書の内容の誤りや記入漏れがないか、受け取ったその場での確認が必要です。不備があることもしばしばあります。
1-3-2.2回目の年金相談を予約する
初回の相談同様、予約時期が3週間くらい先になることを見越して早めに予約を取りましょう。
あらかじめ受診状況等証明書の作成依頼をする際に、書類を受け取れる時期を病院へ確認しておくのがおすすめです。書類を受け取るタイミングに合わせて、2回目の年金相談の予約を入れることができます。
なお、初診の病院で診断書を作成してもらう際には、受診状況等証明書を省略できます。初診日をあらかじめ電話で病院に確認したうえで、速やかに2回目の電話予約を入れましょう。
1-4.STEP4. 2回目の年金相談

2回目の年金相談で行うことは以下の3つです。
- 確定した初診日で障害年金の受給要件を満たしているか確認してもらう
- 請求方法を決定する
- 障害年金の請求書類についての説明を受ける
それぞれ解説します。
1-4-1.初診日時点で障害年金の受給要件を満たしているか確認してもらう
初診日を年金事務所の窓口の方に伝えて、納付要件を満たしているか確認してもらいます。
初診日は受診状況等証明書を提出して伝えます。初診の病院で診断書を作る際は、受診状況等証明書は必要ありません。口頭で初診日を伝えます。
障害年金の受給要件は以下の3つです。
- 初診日に原則公的年金に加入していること
- 初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの期間において、3分の2以上保険料を納付または免除されていること。または初診日が令和8年4月1日前にある場合については、初診日において65歳未満であり、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの一年間に保険料の未納がないこと。
- 障害認定日に障害年金を受給できる障害の程度(障害等級)に該当すること
このうち1.2の項目について、受給要件を満たしているか確認してもらいます。
3の障害認定日に障害年金を受給できる障害の程度(障害等級)に該当しているかどうかは、請求が完了した後、提出した書類の内容をもとにして審査されます。
1-4-2.請求方法を決定する
受給要件を満たしていれば、認定日請求と事後重症請求のいずれかに請求方法を決めていきます。
認定日請求とは、障害認定日以降1年以内に障害年金を請求する方法です。一方の事後重症請求は、障害認定日に障害年金が請求できる状態になかったものの、その後症状が悪化したときに年金請求を行う方法です。
これらの請求方法については以下の記事で詳しく解説しています。
「障害年金とは?」の記事はこちら
こちらをお読みいただきますと、障害年金の請求方法の違いについてしっかり理解できます。
1-4-3.障害年金の請求書類についての説明を受ける
障害年金を請求する際に必要となる、請求書類についての説明が受けられます。併せて障害年金の審査の結果に深く関わる、診断書の原紙が渡されます。2回目の年金相談を終えた後は病院へ行き、診断書の作成を依頼します。
なお、請求に必要となる書類を以下にまとめていますのでご確認ください。
必ず用意する書類
- 基礎年金番号通知書または年金手帳
- 医師の診断書
- 年金請求書
- 病歴・就労状況等申立書
場合によっては必要になる書類
- 戸籍謄本
- 住民票
- 受診状況等証明書
- 受診状況等証明書が添付できない申立書
- 請求者名義の預金通帳、貯金通帳またはキャッシュカードのコピー
- 在学証明書または学生証のコピー
- 所得証明書または課税(非課税)証明書
- 第三者行為事故状況届および添付書類(確認書、交通事故証明書、示談書など)
- 生計維持申立書
- 障害給付請求事由確認書
- 時効に関する申立書または請求遅延に関する申立書
- 障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)のコピー
- 障害年金の初診日に関する調査票
1-5.STEP5. 診断書を病院で作成してもらう

年金事務所、または市区町村役場の年金窓口に請求書類一式を提出して、申請手続きは完了です。申請書類の提出先は申請する年金の種類によって異なります。
障害基礎年金を申請する場合
書類の提出先は、住所地の市町村役場の窓口です。ただし初診日に国民年金第3号保険者だった方に限り、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに書類を提出します。
障害厚生年金を申請する場合
お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに書類を提出します。
なお支給の決定は書類提出後、3〜4ヶ月後となります。
2.注意:年金事務所によって手続きの進め方は異なる
相談に行く年金事務所によっては手続きの進め方が異なります。そのため、今回解説した申請の流れは一例でしかありません。
たとえば以下のようなケースもあります。
-
全ての請求書類をそろえてから、2回目の年金相談に来るように言われるケース
-
病歴・就労状況申立書を初回相談に持ってくるように言われるケース
-
電話で年金事務所の職員と話をした後に、請求書類一式が自宅へ郵送されるケース
このように障害年金の請求については、臨機応変な対応を求められる場合があります。
また自分で書類を作成したり、初診日を特定したりといった、それぞれの手順のハードルがなかなか高いものです。そのため請求する前に挫折してしまったり、請求したものの不支給になってしまうケースが多くあります。
障害年金の申請で悩む場合には、社労士へ代行申請を依頼する手段もあります。
社労士へ依頼することで、ご自身の負担を軽減したり、受給の可能性を広げられたりといったメリットがあります。
障害年金申請代行を社労士に依頼する際の費用や利用のメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
こちらをご覧いただきますと障害年金の申請を自分で行うか、社労士に依頼するかを判断できるようになります。
3、まとめ
この記事では、障害年金の申請手続きの流れを紹介しました。
全体の流れをもう一度おさらいしましょう。

注意点として年金事務所によっては進め方が異なることを押さえておく必要があります。
しかし、今回紹介しているのは一般的な障害年金の申請手続きの流れですので、大まかな手順はつかめるかと思います。ぜひ参考のうえ障害年金の請求にチャレンジしてみてくださいね。
当センターでは障害年金の受給に関するご相談を、下記のリンクより承っております。